ポイント付与を装う偽サイトが増加、首相官邸を装う投資詐欺に注意
ネット詐欺リポートは毎月調査・収集した詐欺サイトを分析し、傾向をまとめたリポートです。
※「インターネット詐欺リポート」(www.sagiwall.jp)は、2025年4月度より「ネット詐欺リポート」(netsagisoken.jp)として名称及びドメイン変更をいたしました。
目次
ポイント付与のフィッシングサイトが増加傾向
近年、「ポイントプレゼント」を装い、ログイン情報や個人情報を盗み取るフィッシング詐欺が増加しています。特に6月は、JRE POINTをかたるフィッシングサイトが多数確認されました。これまでのフィッシング詐欺は、「不正アクセスが確認されました」「至急ログインしてください」など、不安や焦りをあおってログインを促す手口が主流でした。しかし最近では、「ポイントがもらえる」「キャンペーンでお得」といったメリットを強調し、利用者を誘導する手口が増えています。現在は、QRコード決済やさまざまなWebサービスでポイント還元キャンペーンが頻繁に実施されているため、本物のキャンペーンと思い込み、警戒せずにログインしてしまう可能性があります。ポイント付与をうたうサイトやメールを利用する際は、記載されたリンクを安易に開かず、公式サイトや公式アプリからアクセスしていることを確認しましょう。
また、首相をかたった投資詐欺の報告も増加しています。SNS広告などを通じて偽の投資サイトへ誘導する手口が確認されており、首相官邸のホームページでも注意喚起が行われています。有名人や著名人を利用した投資広告は安易に信用せず、公式情報を確認することが重要です。
※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。


※画像は詐欺・危険サイトのイメージであり、本文内容とは関係ありません。
「JRE POINT」を名乗る不審なメール・サイトにご注意ください
https://www.jrepoint.jp/information/jrepoint-office/20260512001
首相官邸ホームページを装った偽サイトにご注意ください
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kantei-fake-website/index.html
LINEや総務省などのフィッシングに注意
最新のデータでは、7月に入り、LINEや総務省の労働力調査を装ったフィッシングサイトが増加しています。LINEを悪用した手口では、ログインID・パスワードを盗み取るだけでなく、投資詐欺サイトへ誘導するためにLINEへの「友だち追加」を促すケースも多く確認されています。不審なメッセージや広告からLINEへ誘導された場合は、安易に登録しないよう注意が必要です。また、年初に多く確認されていた国勢調査を装うフィッシングに代わり、現在は総務省の労働力調査をかたる手口が増加しています。主にメールなどで送信され、「回答しない場合は法律に基づき罰金が科される」といった内容で利用者の不安をあおり、個人情報を入力させようとするものです。総務省からの案内は、必ず公式サイトなどで確認するようにしましょう。
さらに、イープラスなどのチケット販売サービスを装ったフィッシングも増加傾向にあります。チケットの購入や抽選結果の確認を装ったメールやSMSを受け取った場合は、リンクを直接開かず、公式サイトや公式アプリからアクセスすることを心掛けてください。


※画像は詐欺・危険サイトのイメージであり、本文内容とは関係ありません。
フィッシングサイトブランドランキング
6月は、Appleを装ったフィッシングサイトが最も多く確認されました。また本リポートで取り上げたJRE POINTのフィッシングサイトが8位、首相官邸の投資詐欺が10位にランクインしています。

フィッシングサイトカテゴリ別構成比
6月度は、Webサービスのフィッシングサイトの構成比が上昇しています。Appleやえきねっとなどを装ったフィッシングサイトの増加が要因です。また、証券関連のフィッシングサイトは、マネックス証券をかたるサイトの減少に伴い、全体の構成比も低下しています。


※5ポイント以上上昇したカテゴリは赤色の矢印になります。
※5ポイント以上減少したカテゴリは黄色の矢印になります。
フィッシング詐欺被害防止のポイント
メールやSMSで案内されたURLが正規のURLか確認する
メールやSMSメッセージ上のリンクはクリックせず、事前に登録しておいたブックマークやウェブ検索で正規サイトへアクセスしましょう。 怪しいサイトを診断する無料サービスを利用し、事前にURLをチェックすることも有効です。
個人情報やクレジットカード番号の入力を促すメール・SMSに注意する
クレジットカード会社が個人情報やクレジットカード情報をメール・SMSで問い合わせることはありません。情報入力を求めるメールには対応せず正規サイトを確認してください。
ログインID・パスワードの使い回しを控える
複数のサービスサイトで同じログインID・パスワードを使い回していると、フィッシング詐欺によってログインID・パスワードが詐取された場合、他のサービスサイトの不正利用被害に遭う可能性が高まります。被害を最小限に抑えるためにもログインID・パスワードの使い回しはせず、サービスごとに登録内容を変更し管理を行うようにしましょう。
セキュリティソフトやネット詐欺専用ソフトを導入する
犯罪者の手口は日々巧妙化しており、今まで意識してきた対策が通用しなくなる可能性があります。日々進化するネット犯罪に対抗するにはセキュリティソフトを導入することも必要です。不審なサイトにアクセスした際に注意喚起を行ってくれます。
詐欺サイトを無料で診断「詐欺サイトチェッカー」
不審なサイトの安全性を確認したい場合は、無料で利用できる「詐欺サイトチェッカー」 を活用する方法もあります。
ネット詐欺対策ソフトの「みやブル」及び官公庁などから収集したブラックリストの情報をもとに判定を行うもので、気になるサイトのURLがネット詐欺サイトとして報告されているかをチェックすることができます。

サイトURL:https://checker.miyabull.jp/
森 達哉教授のコメント
6月度は、ポイント付与を装うフィッシングの増加が特徴的でした。JRE POINTがブランドランキング8位に入るなど、手口の定着化が進んでいます。今回注目すべきポイントは、利用者の心理に対するアプローチの変化です。従来は「不正アクセスが検知された」など不安をあおることでログインを急がせる手口が中心でしたが、ポイント付与型は「もらえるはずのポイントを逃したくない」という消費者の心理を突きます。ポイント還元キャンペーンが日常的に実施されている環境では、本物のキャンペーンと見分けることが困難です。攻撃者がこうした「お得感」の心理をついて利用者を誘導できる状況は、フィッシング対策の難度を一段階引き上げたと言えるでしょう。
行政機関を装うフィッシングでは、総務省の労働力調査をかたる手口が新たに確認されました。昨年9月度の国勢調査、10月度以降の国税庁、3月度のeLTAXに続き、装う組織を切り替えながら「行政の権威性」を一貫して利用するフィッシング手口の典型例です。「回答しない場合は罰金」という法的制裁をちらつかせる文言も巧みです。また、LINEを悪用した手口では、ログイン情報の窃取にとどまらず「友だち追加」を経由して投資詐欺サイトへ誘導するケースが増えており、日常的に使っているコミュニケーションツールへの信頼を足がかりに金銭被害へつなげる多段階の手口として警戒が必要です。
今後は秋に向けて、行政手続き関連のフィッシングが再び活発化する時期に入ります。過去の傾向では9月から10月にかけて国勢調査やNHKを装う手口が増加しており、今年も労働力調査に続いて新たな行政系ブランドの出現が予想されます。さらに、秋から年末にかけてはポイント還元キャンペーンや割引セールが増えるため、ポイント付与型のフィッシングが本物のキャンペーンに紛れて拡大するリスクも高まります。不審なメールやSMSのリンクは決してクリックせず、公式アプリやブックマークからのアクセスを徹底することがこれまで以上に重要です。本リポートの内容をご家族や周囲の方々と共有し、心当たりのない「ポイント付与」や「支払い請求」には一拍置いて確認する習慣をつけていただければと思います。
このページを監修した人

早稲田大学 理工学術院 教授
「令和7年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)」受賞
NICTサイバーセキュリティ研究所 招へい専門員